【PB更新】おかやまマラソン2022 其の五
「【PB更新】おかやまマラソン2022 其の四」からの続き、いよいよクライマックスとなるフィニッシュまでのレポートとなります。
では、早速。
心強い応援団
ここにきてこれかよ!
40km地点を無事に通過し、ラスト2kmちょいとなった今大会。ですが、すでに精も魂も尽き果てる寸前。目の前には「ここにきてこれかよ!」と突っ込みたくなるほどの坂、そう、「万町跨線橋」。就実高校から清心町交差点の間に掛かるあの跨線橋です。
普段車で走るときはあまり感じませんが、自分の足で登ってみると、これが結構な高低差でして。おまけに思ったより長い。40kmも走ってきているから余計に感じたのかもしれませんが、本当に自然と「ここにきてこれかよ!」と口をついて出てくるほど。
それでも、必死に歯を食いしばりながら登っていきました。だってこのままペースを落とさずにフィニッシュできれば、「サブ4ランナー」の仲間入りができるのですから。そして、あと少しでこの苦しさからも解放される訳ですから。そりゃ〜踏ん張らんとアカンでしょ。
ですが、そうは言ったものの、頭で理解し、そして気力でなけなしの力を奮い立たせても、へばり切った身体は易々と何とかなるものじゃありません。ふくらはぎは攣りそうだし、ハムストリングもお尻も悲鳴を上げてます。なんなら振っている腕にも痛みが。
↓腕の痛みに関しては、こちらに記事に書いているのでよかったら。
なんとしてでも「サブ4」したい気持ちと、「もうヤバいっすよ」と悲鳴を上げている身体とのギリギリのせめぎ合いが続きます。そんな中、そのパワーバランスを崩す出来事が・・・
知った顔と声援
「よっちゃ〜んっ、頑張れっ!」
「行ける、行けるっ!」
「よっちゃ〜んっ、行けぇ〜!」
どこかの誰かが、必死に声援を送っている。それにしてもすごいなぁ〜。
最初自分のことと理解できていませんでした。前述した通り、自分との激しい戦いの最中であったこともあるのですが、今大会での応援らしい応援は、妻くらいしかいないと思っていたものですから。
大きい大会ですし、知り合いと遭遇ってことはあるかもな、とは思っていましたが、まさか自分に対して必死になって声援を送ってくれる人が妻以外居るとは思ってもいなかったので、まるで他人事のよう。
でも「よっちゃん?!?」。
えっ?!?
声がする方を見てみると、なんとなんと知った顔が。自分が所属しているランチームのメンバーじゃないですか。
まさかのまさかです。
コロナ禍になり、大会やランニングイベント等も中止される中、なかなかチームとしての活動ができない状態で、たまにSNS等を通じてやりとりがあるくらいで、リアルにはここ2〜3年メンバーと会えてなかったので、本当にまさかのまさかです。
あまりの驚きに頭での理解が上手く追いつかず、下手な笑顔で右手を振り応えた様に記憶してます。あとで、もうちょっとちゃんと応えれたらよかったのにと思ったくらいだったので、相当「変」だったと思いますよ。(笑)
ラストスパート
確信
ただ、応え方はぎこちなかったけど、心には応えた。
きっと追い込まれた人にしかわからないこの素直な人間としての反応、とでもいうべきか、自分が「走る」きっかけになったあのときの感覚。やることで得られる達成感と、人の温かさに触れること。歳を重ねてくると出会う機会がどんどん減っていく感覚。何かに夢中で失敗と成功を繰り返していた若き日の自分を思い出します。今となってはこうやって追い込まれないと感じられないけど。。。
何もそんな大袈裟な。と思われるかもしれないが、そのくらい素直に嬉しかったし、もうほとんど底をつきかけてた体力&気力に「元気玉」を貰った感じです。
このとき確信しました。「サブ4」行けると・・・
陽が射す
ここからの約2kmはとてもクリアに記憶されてます。ほんの少し(今の自分には少しでもありがたい)ですが、身体に力が入るようになり、視界も広くなった感覚があります。
そうは言っても、足が攣りそうな感覚や疲労は相変わらずで、目に見えて走りが変わった訳ではないです。ですが、レース後ラップタイムを確認したら、35km過ぎからキロ5分50秒まで落ちていたタイムが、40km〜41kmが5分40秒、41km〜42kmが5分25秒と上がっているじゃないですか。すごい。
そして、視界も広くなった関係で、沿道の多くの応援が今まで以上に、目に、耳に届くようになってきてます。この久しぶりの大きな大会に参加できたことを改めて嬉しく思い、なんか顔が自然とほころんできます。おまけに、この頃にはなんとこれから迎える感動のフィニッシュを祝うかのように、陽も出てきたじゃないですか。
感動のゴール
シティライトスタジアム
さぁ、全ての舞台は整った。あとはフィニッシュ地点となる、岡山県総合グラウンド「シティライトスタジアム」に入り、半周ちょと走れば、この長かった旅も終わる。あと少しだ・・・
スタジアムに近づくにつれ、中の実況アナウンスの声がどんどんと鮮明になってきます。合わせて心が昂ってくるのを感じる。いよいよゲートイン。
ゲートをくぐりスタジアム内に入ると、すぐに大きなオーロラビジョンが目に入ってきます。フィニッシュラインの模様が映し出されており、ゴールする笑顔のランナー達がいっぱい。もちろん肉眼でもフィニッシュゲートが見えてます。あと200mちょっとで自分もあの輪の中に入れます。
そこに実況アナウンスの声が飛び込んできた。「4時間まで4分を切っています」、「ランナーの皆さん、あと少しでサブ4です」。
おぉ〜、サブ4できる。あと少し走り切れば、自分もサブ4ランナーだ。
雨が上がりたまに陽が差しはするものの、相変わらずの曇天。しかし、オレの心は快晴。だって、あのフィニッシュラインを越えれば、4時間走りっぱなしの状態から解放されるし、目標であった「サブ4」も手中におさめることができそうなのだから。
再登場! フーーッ、フーーッ!
ラスト150m、整備されたトラックを一歩一歩足を踏みしめながら、このシーンをしっかりと記憶しておこうと、足の痛みと全身の疲れの中、楽しんでいたまさにそのとき・・・
「フーーッ、フーーッ! あと少し頑張れぇ〜! ファイト〜ッ!」
聞き覚えのある声・・・
そう、スタート地点でも空気を無視して雄叫びをあげていた、あの有森裕子さんじゃありませんか。フィニッシュライン100m手前で、各ランナー達に最後のエールを送り続けていました。それにしてもこの方、本当に元気いいです。たまに「んっ?」て思うこともあるけど、やっぱ元気がいいのはいいっ!
しかと力をいただきました。
笑いながら怒る人
ってことで、有森裕子さんに最後の後押しをされ、ラストの直線に入りました。残り数10m・・・
どんなに苦しくたってラストは全力で走り抜ける。
これはどんなレースでも自らに課しているルールです。。。
といえばカッコいいですが、本当のところは帳尻合わせだったり、終わりよければだったり、最後に追い込んでやった感を演出してたり、とよく分からない行動です。が、全力を出すことは良いことなので、毎度死にそうになりながら、なけなしの最後の力を振り絞り、トップギアに入れて笑顔で最終スパートを掛けます。
笑顔っ?
まるで竹中直人の「笑いながら怒る人」じゃないけど、「笑いながら必死に走る人」って感じ。(笑)
まぁとにかくゴールラインを全力で駆け抜けるため、必死な訳です。
フィニッシュ
「4時間まで、3分を切りましたぁ〜!」
「スタジアム内のランナーはサブ4だぁ〜!」
「ラスト、頑張れっ!」
場内アナウンスがめっちゃ煽ってきます。残り3分を切った。もうゴールラインは目の前なので、サブ4は確実です。ゴールゲートに設置されている計測表示を見ると、「3:58:○○」で秒を刻んでいます。あと5m。
そしてついに、ゴーーーーーーーッル!!!
この時点ではもちろん正式タイムは分かりませんが、サブ4達成したことだけは確かです。やったりました。48歳から走りはじめ、少しずつステップアップしていき、やっとここまで来ました。
途中、「よしっ、さぁ次こそサブ4挑戦だ」と思った矢先、これまでやってきたことが『無』になるような新型コロナウイルス感染症による行動制限の所為で、丸2年フルマラソンの大会に出場できず、腐りそうになっていましたが、諦めなくて良かった。やればできるもんですね。
↓ゴール後、唯一撮れた写真
サブ4の代償
過去一のダメージ
サブ4達成を全身で喜びたいのに喜べない。。。
ゴールを切り、いつものようにコース(ゴールゲート)に向かって一礼しようと振り返ったら、ヨタヨタで転びそうになるし、頭を下げるのも、自分は深々と下げたつもりが、あとでゴールシーン(後日、深夜に全ゴールシーンが放送される)を見たら、コントのようにペコって。妻と見て大笑いしたくらい。
まぁそのくらい身体が思い通りに動かないってことです。
そしてゴールしたランナーは、早く移動するよう促されるのですが、動けない。まず最初にしなくちゃいけない、計測チップすらひとりで取ることができない始末。だってシューズに手が届かないんだから。
それでも、転びそうになりながら座り込み、なんとか外して返却。しばしボーッと他のランナー達のゴールを眺めてから、意を決して退場ゲートに。足を引きずるようにして、退場ゲートまでの動線に用意された各ブースで、フィニッシャータオル、完走メダル、給水(スポーツドリンク)、給食(岡山名物であるバナナクリームロール&大手まんぢゅう)などを受け取りスタジアムの外に出ました。
とにかく今すぐにでも腰を下ろしたい。足全体に痛みが出てるので、休めたい。と座れそうなところを探すのですが、レース中に結構雨が降っていた所為で水溜りがすごく、座れそうなところが限られている上、他のランナー達も身体を休めたい人が多いし、応援に来ている人たちもごった返していてスペースが見つけられない。
唯一足元が水溜りの中になってしまう場所で座れそうなところが空いていたので、どうせもう全身ビショビショなんだしってことで、腰を下ろしました。
ハーフくらいのレースなら、ダメージも少なくて済むのですが、30kmを超えるレースとなるとそれなりにダメージが大きく、フルだとしばらく動けなくなるんですよね。ただ今回はじめて結構な痛みまで出てしまって、本当に動けない。
感動のゴール、サブ4達成の余韻に浸る前に、まずはこの足の痛みをなんとかしないと、帰ることもできません。
いただいたバナナクリームロールと大手まんぢゅうを頬張りながら、一生懸命足をマッサージし、ダメージ回復に努めました。
しばらくマッサージを続け、足の痛みはまだ残るものの、気持ち的に落ち着を取り戻してきたので、妻に無事にゴールできたこと、サブ4を達成したことを連絡しました。妻も「応援navi」で確認してくれてたみたいで、開口一番「おめでとう!」と。
はじめての経験
小一時間ほど座り込んでいましたが、ダメージは酷いものの、足の痛みも少し和らぎ、歩けるくらいまで回復してきたので、預けていた手荷物を受け取りに行き、更衣のためジップアリーナ岡山に向かいました。
レース前の更衣エリアは設けられていなかった(コロナ禍のため)のですが、レース後はジップアリーナ岡山が更衣エリアになっており、各ランナー、ビショビショの身体を拭きながら着替えをしていました。もちろん自分もずぶ濡れで、そうでなくても脱ぎにくいのに身体がレースのダメージで動きが悪く、めっちゃもたつきながら着替えることに。
で、ここではじめて気づいたのですが、足の裏になんと水膨れができてる。
レースの後半、なんとなく足の裏に違和感があったのですが、まさか水膨れができているとは。それも人差し指の付け根から中心に2cmほどのことろに。
今まで、レースでも練習でも足に水膨れなんか一度もできたことがないのに。なぜだ・・・?
そしていろいろとレース中のことを思い返し、一つの答えに。というかこれしか考えられない。それは『雨』。
雨でシューズの中がずぶ濡れで靴下が足に貼り付いたようになり、上手く滑らず摩擦が生じたためじゃないかと。
ずぶ濡れじゃなくて、乾いているとき(汗で若干湿ってはいると思うが)のように靴下が程よく滑ってくれず、『軋む』ような感じになったからだと推測しました。
にしてもこんな経験ははじめてです。ちょっとしたことでもフルマラソンの距離ともなると相当ですよね。まぁ今のところ潰れてないし軽い痛みしかないので、家に帰ってゆっくり治療するってことで。
まとめ
着替えも済み、あとはこのダメージを抱えた足で岡山駅まで歩き、電車に揺られて帰るのみです。
ジップアリーナ岡山を出て、岡山駅に向かうには、コースのラスト辺りを逆に向かうようになるのですが、時間的にも丁度制限時間ギリギリのランナー達が走っているところです。
必死な形相のランナー、もうすぐゴールだからか、めっちゃ安堵の表情のランナー、終始笑顔で心から楽しんでそうなランナーなど、まだまだ数多くのランナーがゴールを目指して最後の力を振り絞っていました。
そんな光景を眺めながら、『無事に完走』できたこと、『PB更新』できたこと、そして目標だった『サブ4』できたことを改めて噛み締め、本当にいい大会だったなと、安堵するばかりです。
生憎の雨でしたが、記憶にも記録にも残る素晴らしい大会でした。最後に今一度、公式な結果を掲載して締めたいと思います。
遅筆の上、乱文で読みにくいところも多々あったかと思いますが、これまで長々とお読みいただきありがとうございました。また、2023年大会も出場できたらと思っております。
開催日 2022年11月13日(日)
氏名 弘中 義雄
種目 フルマラソン
ナンバー 1744
記録 3:58:25
ネットタイム 3:56:06
総合順位 2873位(10213人中)
種目別順位 485位(1541人中)
追伸
そうそう、実はこの日の夜、とっても嬉しい出来事がありました。今大会に関係することなので、近いうちに『番外編』としてご報告できればと思います。
P.S.
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P.P.S.
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